1: 蚤の市 ★ 0Rxx73DJ9 2024-02-29 08:04:52
戦闘機輸出めざす政府「日本が軽んじられる」と危機感をあおり公明に迫る 与党間の協議まとまらず
自民党の渡海紀三朗、公明党の高木陽介両政調会長は28日、英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機を含む国際共同開発品の日本から第三国への輸出解禁を協議したが、結論は先送りした。政府は共同開発に向けた交渉が3月以降に本格化するとして、2月末までの結論を求めたが、公明党は「国民の理解が不十分」と難色を示した。政府は「日本から輸出できないと他国の信頼を失う」などと「外圧」をてこにルール変更をせかす。 (川田篤志)
◆「なぜ方向変わったのか」不快感の公明
渡海氏は28日の会談後、記者団に「双方の考え方、方向性についてかなり距離が縮まったが合意に至っていない」と語り、協議を続ける考えを示した。高木氏は、国民の理解を得るため「(3月の)参院の予算委員会を通じて岸田文雄首相から説明してほしいとお願いした」と述べた。
第三国への輸出解禁は、武器輸出に抑制的だった基本方針の転換となるため、「平和の党」を自任する公明は「首相による国民への説明」を繰り返し要求。これを受け、岸田文雄首相は2月の衆院予算委員会で、輸出解禁で第三国の発注が増えれば1機当たりの生産コストが低減できることなどを挙げて「国益にかなう」などと説明した。それでも公明党の山口那津男代表は20日の記者会見で、「一昨年、(次期戦闘機の)共同開発を決めた時は完成品の第三国輸出はしない前提だった。なぜその後、輸出する方向に変わったのか」と不信感をにじませた。
◆自民幹部「政府の不備だ」
日英伊3カ国の首脳が次期戦闘機の共同開発に合意したのは2022年12月。A4判用紙1枚の声明文では「次期戦闘機を通じた協力関係が、今後数十年にわたって世界の安全の礎となる」と意義を強調する一方、3カ国以外への輸出に関する具体的な記述はなかった。
英国など欧州4カ国が共同開発した戦闘機「ユーロファイター」はサウジアラビアなどに輸出実績がある。次期戦闘機でも当初から第三国輸出が想定されていたはずだが、防衛省幹部は「この1年交渉を進めていくなかで、国際慣習として日本からの輸出も必要だと学んだ」と説明する。
他国への輸出を前提とする場合、日本の武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」を変更する必要があるのに、議論は尽くされなかった。自民幹部は「直接輸出が必要になると最初から説明しなかった政府の不備だ」と語る。
自公両党の実務者は昨年4月、ルール緩和の協議を開始。外国企業のライセンスを受けて日本で製造した武器の輸出解禁などでは合意したが、共同開発した殺傷武器の第三国輸出では、公明が態度を硬化させ、暗礁に乗り上げた。
◆「英国とイタリアが懸念」と他国をだしに
今年に入り、政権幹部は個別に公明幹部を回って輸出解禁に理解を求めた。その際に使われた「次期戦闘機が直接輸出できない場合の影響」と題した政府資料には、英国とイタリア両国から「既に懸念が表明され、信頼を失いかねない」と強調する文言が並ぶ。
実際に英国のシャップス国防相は、3カ国国防相会談直後に開かれた昨年12月下旬の英国議会で「このプログラムを成功させるためには日本の防衛装備移転三原則の変更が必要になる可能性が高く、日本側に対処する必要があると説得した」と答弁している。
政府資料では他にも、日本がこのまま直接輸出ができなければ「第三国移転に関して日本の意思が軽んじられ、実質的に英伊中心に移転先が選定される恐れもある」と危機感をあおる。政府・自民は、次期戦闘機に限定して輸出を解禁する案も検討するが、期限を区切り、「外圧」をあおってルール変更を迫る強引なやり方が際立つ。
流通経済大の植村秀樹教授(安全保障論)は取材に、米国の要望を背景にした14年の集団的自衛権の行使容認の事例を挙げ、「外圧を利用して国の方針を変えるのは日本政府の常とう手段だ」と批判。「平和国家のイメージを損なう戦闘機の輸出解禁という大きな政策変更について、多くの国民の理解が深まらないまま進めれば、大きな禍根を残す」と指摘する。
公明の山口代表は、国民の理解が浸透していない根拠として、NHKによる2月上旬の世論調査で輸出解禁に賛成が31%、反対が51%だったことを挙げた。今後の国会審議を通じ、首相が必要性を説明していくことになるが、政治とカネを巡る問題も抱える中、輸出反対が多い世論を反転させるのは簡単ではなさそうだ。
東京新聞 2024年2月29日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/312057
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戦闘機輸出めざす政府「日本が軽んじられる」と危機感をあおり公明に迫る 与党間の協議まとまらず
自民党の渡海紀三朗、公明党の高木陽介両政調会長は28日、英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機を含む国際共同開発品の日本から第三国への輸出解禁を協議したが、結論は先送りした。政府は共同開発に向けた交渉が3月以降に本格化するとして、2月末までの結論を求めたが、公明党は「国民の理解が不十分」と難色を示した。政府は「日本から輸出できないと他国の信頼を失う」などと「外圧」をてこにルール変更をせかす。 (川田篤志)
◆「なぜ方向変わったのか」不快感の公明
渡海氏は28日の会談後、記者団に「双方の考え方、方向性についてかなり距離が縮まったが合意に至っていない」と語り、協議を続ける考えを示した。高木氏は、国民の理解を得るため「(3月の)参院の予算委員会を通じて岸田文雄首相から説明してほしいとお願いした」と述べた。
第三国への輸出解禁は、武器輸出に抑制的だった基本方針の転換となるため、「平和の党」を自任する公明は「首相による国民への説明」を繰り返し要求。これを受け、岸田文雄首相は2月の衆院予算委員会で、輸出解禁で第三国の発注が増えれば1機当たりの生産コストが低減できることなどを挙げて「国益にかなう」などと説明した。それでも公明党の山口那津男代表は20日の記者会見で、「一昨年、(次期戦闘機の)共同開発を決めた時は完成品の第三国輸出はしない前提だった。なぜその後、輸出する方向に変わったのか」と不信感をにじませた。
◆自民幹部「政府の不備だ」
日英伊3カ国の首脳が次期戦闘機の共同開発に合意したのは2022年12月。A4判用紙1枚の声明文では「次期戦闘機を通じた協力関係が、今後数十年にわたって世界の安全の礎となる」と意義を強調する一方、3カ国以外への輸出に関する具体的な記述はなかった。
英国など欧州4カ国が共同開発した戦闘機「ユーロファイター」はサウジアラビアなどに輸出実績がある。次期戦闘機でも当初から第三国輸出が想定されていたはずだが、防衛省幹部は「この1年交渉を進めていくなかで、国際慣習として日本からの輸出も必要だと学んだ」と説明する。
他国への輸出を前提とする場合、日本の武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」を変更する必要があるのに、議論は尽くされなかった。自民幹部は「直接輸出が必要になると最初から説明しなかった政府の不備だ」と語る。
自公両党の実務者は昨年4月、ルール緩和の協議を開始。外国企業のライセンスを受けて日本で製造した武器の輸出解禁などでは合意したが、共同開発した殺傷武器の第三国輸出では、公明が態度を硬化させ、暗礁に乗り上げた。
◆「英国とイタリアが懸念」と他国をだしに
今年に入り、政権幹部は個別に公明幹部を回って輸出解禁に理解を求めた。その際に使われた「次期戦闘機が直接輸出できない場合の影響」と題した政府資料には、英国とイタリア両国から「既に懸念が表明され、信頼を失いかねない」と強調する文言が並ぶ。
実際に英国のシャップス国防相は、3カ国国防相会談直後に開かれた昨年12月下旬の英国議会で「このプログラムを成功させるためには日本の防衛装備移転三原則の変更が必要になる可能性が高く、日本側に対処する必要があると説得した」と答弁している。
政府資料では他にも、日本がこのまま直接輸出ができなければ「第三国移転に関して日本の意思が軽んじられ、実質的に英伊中心に移転先が選定される恐れもある」と危機感をあおる。政府・自民は、次期戦闘機に限定して輸出を解禁する案も検討するが、期限を区切り、「外圧」をあおってルール変更を迫る強引なやり方が際立つ。
流通経済大の植村秀樹教授(安全保障論)は取材に、米国の要望を背景にした14年の集団的自衛権の行使容認の事例を挙げ、「外圧を利用して国の方針を変えるのは日本政府の常とう手段だ」と批判。「平和国家のイメージを損なう戦闘機の輸出解禁という大きな政策変更について、多くの国民の理解が深まらないまま進めれば、大きな禍根を残す」と指摘する。
公明の山口代表は、国民の理解が浸透していない根拠として、NHKによる2月上旬の世論調査で輸出解禁に賛成が31%、反対が51%だったことを挙げた。今後の国会審議を通じ、首相が必要性を説明していくことになるが、政治とカネを巡る問題も抱える中、輸出反対が多い世論を反転させるのは簡単ではなさそうだ。
東京新聞 2024年2月29日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/312057
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